話数単位で選ぶ、2012年TVアニメ10選

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昨年に引き続き今年も参加。去年はスムーズに決まった感じだったのですが、今年は10本選ぶのに苦労しました……。
泣く泣く切ったエピソードについては番外編としてまとめましたので、合わせてご覧いただければ幸いです。
 話数単位で選ぶ、2012年TVアニメ10選【番外編】

ルール
・2012年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。

ということで例によってグッときた回を思いついた順で。

脚本:加藤綾子 絵コンテ:松尾衡 演出:出合小都美 作画監督:Cindy H.Yamauchi



去年に続いて順位は付けないといいつつも、今年一番心を鷲掴みにされたエピソード。
セッションが素晴らしいというのはわざわざニュースリリースが出るくらいだからここで改めて触れるまでもないですが、何よりそれに至る過程が見事。
薫が舞台の幕の裏で千太郎の「…それに大事な相棒ば待たせとるけんな」ってセリフを聞いた瞬間からラストまで見ているほうのテンションが全く落ちなかった。
「足が重い……この坂道を初めてのぼった時と同じくらい……」から始まる鬱屈とした空気が、最後には「体が軽い……まるで生まれ変わったみたいに……このまま……飛んでいっちゃいそうだ」なんて駆け落ちしちゃうもんですからカタルシスが半端ないです。加えてコルトレーン追悼。
アニメにおける学園祭の名ライブシーンは数多くありますが、坂道のアポロンのセッションシーンは今年といわず今後も語り継がれていくと思います。


今年は「LUPIN the Third -峰不二子という女-」の音楽に菊地成孔が参加したり、また「コードギアス 亡国のアキト」の音楽では橋本一子がその実力をいかんなく発揮したり(このPVの曲のかっこ良さと言ったら)、あるいはJAZZ×アニメをテーマにしたイベント「ジャズメルカ」が開催されたりとアニメとジャズの関係が特に深まった一年だったと思いますが、
あの渡辺信一郎監督がジャズをテーマにした作品で、しかも正統派のスタイルで帰ってきたのは象徴的だったなと思いました。
【関連】
TVアニメ『坂道のアポロン』、異例の挑戦! 3分31秒のジャズセッション

脚本:新井輝 絵コンテ:川越淳 演出:川越淳 作画監督:進藤優

戦国コレクション」は各話毎に異なる人物にスポットを当てたオムニバス形式であるため、こういった話数単位で選ぶ企画とは相性がいいと思います。それ故に選者の個性が出ると思いますが、いやこれは本当に迷いました……。
迷った挙句、これが一番戦コレらしいかな〜という回を選びました。だって宇宙ステーションに戦国武将が飛ばされたって話ですよ! しかもちゃんとSFしてる。予告の時点でワクワク感が異常でしたが期待以上のものを見せてもらいました。
次点でCOLLECTION 5 「Sword Maiden」(卜伝ちゃん回)、COLLECTION 7 「Refined Bard」(芭蕉ちゃん回)、COLLECTION 8 「Regent Girl」(秀吉ちゃん回)、COLLECTION 18「Four Leaves」(吉継ちゃん回)、COLLECTION 23「The Dune」(経久ちゃん回)まで絞ったのですが、どれも好きすぎて選ぶのに本当に悩みました……。いっそ戦コレ限定で10選やってもいいんじゃないでしょうか。いやマジで。

脚本:井内秀治 絵コンテ:井内秀治、青葉譲 演出:徳本善信 作画監督:川島尚、伊藤大翼、糸島雅彦、しんぼたくろう

僕には娘ができたら不朽の名作「おねがいマイメロディ」を見せて一緒に楽しむというキモい夢があるのですが、そのラインナップに新たに一作加わった感じです。まさにコーデ系アニメの新境地を切り開いたかと。
闇落ちしたりずむちゃんを見た時は女児向けアニメでここまでやるのかと驚かされましたが、それだけスタッフの本気さを伺えました。
第1話を見た当時は冗談半分で名作の予感しかしないとつぶやいたのですが、いや本当にこれは名作です。キッズアニメだからと敬遠してる人にも是非見てもらいたいクオリティです。
4クール目に入ってからは毎回が見所で第50話「新プリズムクイーン誕生!」と迷いましたがこの46話で。

脚本:綾奈ゆにこ 絵コンテ:田口智久 演出:鈴木芳成 作画監督:廣瀬智仁

漂流生活からあっという間に国家を建設、そして崩壊までを描いた名エピソード。
可愛い見た目とは裏腹にところどころに毒を含んでいるのがこの作品の特徴ですが、特にこの回では麻薬のやり取りで失禁したり重要な発明リストに宗教があるのに笑わせてもらいました。
人類は衰退しました」もどれも珠玉のエピソード揃いなので原作と合わせて手元に置いておきたい作品の一つです。

脚本:宮崎真一 絵コンテ:西村聡 演出:筑紫大介 作画監督大河原晴男、山下英美

佐藤竜雄監督が帰ってきた! 最後に監督作を見たのは「シゴフミ」だったので4年ぶりになりますか。「輪廻のラグランジェ」も手がけているのである意味佐藤竜雄イヤーだったといえると思います。
で、この「モーレツ宇宙海賊」。2クールあるとはいえ今時のアニメに珍しくスローなペースで最初はやや戸惑いましたが、丁寧な心理描写とともに着実にドラマを重ねて素晴らしく安定感のアニメになったなぁと。
後半のヨット部編の最終話にあたるこの21話は、ヨット部の一員であるアイちゃんを魅力的に描いた回ですが、今まで丁寧に描いてきた分が生きた回だったなと思いました。
2014年には映画も公開されますが、個人的にはこの回を大きいスクリーンで是非見てみたいと思ってしまうくらい好きな回。

脚本:森田眞由美 絵コンテ:左藤洋二 演出:左藤洋二 作画監督:手島典子、山本道隆

8話から始まった清少納言編のラスト。
枕草子の裏にあった清少納言の生き様を描いたエピソードで、中宮定子様を思う気持ち、藤原行成とのやり取り、そして公任先輩の存在などなど、随所にグッと来るシーンがあって何回も観返してしまいました。
もちろん超訳なので史実とは違うでしょうけども、この作品の人物はみなどこか儚げな面を持っていて何度も切ない気持ちに。
他では11話「香子と藤子 紫式部」も非常に良かったです。原作買ってしまうほど好きになってしまった作品。

脚本:黒田洋介 絵コンテ:おざわかずひろ 演出:小林公二 作画監督:武藤信宏

2期に入ってからは各キャラの個別エピソードで毎回楽しませてもらったのですが、特にこのワイリ回は本当にやばかった。ワイリヤバい。
ある意味ココ達の日常を描く通常回でありつつも同時にワイリの過去を掘り下げていく名エピソード。痛快でずっと笑いっぱなしでした。
ヨルムンガンド」は黒田洋介&WHITEFOXの仕事が非常に光っていたシリーズで原作ファンも納得のアニメ化だったといえると思います。
終始落ちなかったクオリティの中でも15話「Dance with Undershaft phase.2」も非常に良かったのですが、

これは1話単体で見るより第14話「Dance with Undershaft phase.1」と合わせて見るほうがいいんじゃないかということで7話を選出しました。

脚本:柿原優子 絵コンテ:鈴木薫 演出:鈴木薫 作画監督:宇佐美皓一、宮井加奈

今年1、2位を争うくらいウルウル涙腺が緩んでしまった回。
今まで描かれてこなかった堂島家の過去に触れていくわけですが、みんな大好き天使な菜々子が……めっちゃかわいいんですよ……。それだけにストーリー上必要とはいえ、悲しむ姿を見るのが辛かった。
堂島親子と主人公こと番長の絆を描きつつ、タイトル通り家族となっていく過程が素晴らしい。

  • TARI TARI 第6話「笑ったり 想ったり」

脚本:橋本昌和、佐藤梨香 絵コンテ:多田俊介 演出:倉川英揚  作画監督大東百合恵

Twitterかどっかで何度か書いてるのですが、僕はどうもいなくなってしまった人の想いが今生きている人を動かす、という話が好きなようです。
TARI TARIは和奏を物語に参加させていく(巻き込んでいく)という構成がとても丁寧で、この6話で一応の区切りを迎えるのですが、それに相応しいエピソードだったと思います。和奏の涙、父の涙にこちらも号泣。
カセットから流れる母の歌声を和奏が受け継ぎ、合唱部がスタートしていく……そしてエンディングへと雪崩れ込んでいく流れは何度見ても涙腺を刺激します。
シリーズ全体を見ると前半を丁寧に描きすぎて、それだけに後半の閉校などの唐突感がやや残念だったかも。もし2クールあったなら……というのは今更言っても仕方ないですが。
他には10話「萌えたり 燃えたり」も爆笑してしまった回だけどグッとくる度では6話が段違いでした。

脚本:大嶋実句 絵コンテ:八瀬祐樹 演出:平田豊 作画監督:潮月一也、宮西多麻子、清水勝祐、西山忍


前半、ゆのっちと宮ちゃんのゆりんゆりんなエピソードを見てうわぁ……いいもん見たなぁ……と思ってたら後半でこの話ですよ。この間まで後藤さんが入院されてただけに涙腺崩壊してしまった。
ひだまりスケッチ×ハニカム」ではこれまでのシリーズ以上に受験とか将来の話が出てくる頻度が結構あって(大学生になった有沢先輩とランチする回とか人生ゲーム回とか)今のままではいられない変化を感じさせましたが、
反面もちろん不安もあるわけで、その不安を見透かすかのようにちゃんと先生している吉野屋先生やそんなヒロさんを優しく包み込む沙英さんの存在がとても優しかったです。
ハニカムでは11話の夏目回も素晴らしかった。ひだまり5期待ってます。


【まとめ】
狙ったわけではないのですが、思ったよりバランスの良いチョイスになったかなと思います。
あれがない、という場合は番外編を見て頂ければもしかしたらあるかもしれません。なかったらすいません。
兎にも角にも良いアニメに巡り会えた一年でした。来年も素晴らしい作品に出会えることを期待しております。
それでは良いお年を。


【関連】
「話数単位で選ぶ、2012年TVアニメ10選」参加サイト一覧: 新米小僧の見習日記