『超クソゲー3』の前哨戦――『超クソゲー 1+2』

著者の阿部様から献本いただきました。ありがとうございます!

超クソゲー1+2
超クソゲー1+2
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阿部 広樹 箭本 進一 多根清史
太田出版
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今月の22日に、実に11年ぶりとなる超クソゲーシリーズ最新刊『超クソゲー3』が出るわけですが、
あまりにも時間が空いたので、改めてレビュー中心再録+新規書き下ろしの「超クソゲー1+2」も先行発売することになりました。」だそうです。
ということで過去のシリーズに加筆・修正が加えられ、前哨戦の意味合いも兼ねた『超クソゲー1+2』として帰ってきました。

以下目次。

【特別企画】愛されるクソゲー『いっき』は、なぜオンラインで復活したか?


【第1章】ファミリーコンピュータ

【特別企画】『燃えろ!!プロ野球』を創った男


【第2章】スーパーファミコン

  • 桃太郎伝説
  • アンダーカバーコップス
  • スマッシュTV
  • 北斗の拳7
  • 松村邦洋伝 最強の歴史をぬりかえろ!
  • クラッシュ・ダミー
  • 美食戦隊 薔薇野郎
  • もと子ちゃんのワンダーキッチン


【第3章】メガドライブ


【第4章】セガサターン


【第5章】プレイステーション

  • できる! ゲームセンター
  • 情熱☆熱血アスリーツ〜泣き虫コーチの日記〜
  • 里見の謎
  • スターワインダー
  • SIMPLE1500シリーズ Vol.77 THE 水泳
  • 修羅の門
  • GUNDAM 0079 THE WAR for earth
  • ストールン・ソング
  • 破壊王 KING of CRUSHER
  • ランニング・ハイ
  • 京都舞妓物語
  • ロッククライミング 未踏襲への挑戦 アルプス編
  • 魔女っ子大作戦
  • ノベルズ〜ゲームセンターあらしR〜

クソゲーとは何か

俺たちクソゲーハンターは、ゲームの楽しさを表や裏から見つめ直し、クソゲーを買ったときには「ゲームけなし代」を値段に含めて考えるという特殊能力を身につけています。これさえあればクソゲーなんて怖くありません。
(中略)
RPGの神に許しを乞うべきかもしれない『里見の謎』で説明すると、「中古の値段でも4000円。ぼったくりのように見えるけど、実はけなし代が3980円くらいに値する」ということになります。
それはそれで、とっても価値のあることだと思いませんか?

――「はじめに」より

クソゲーとはクソなゲームの事です。クソということはうんこであり、クソゲーとはうんこなゲームということです。
罵倒・侮蔑的表現としては最上級のものでしょう。
しかし一体どのようなゲームがクソゲーかというと、途端に定義が難しくなる。
すぐ死んでしまってコントローラを投げたくなるゲームのことなのか、バグだらけのゲームなのか、ストーリーorグラフィックor操作性がひどいゲームのことなのか、売上が凄まじく低いゲームのことなのか、セガサターンマガジンの読者レースで最下位を独走したゲームのことなのか。
いやそれ全部ひっくるめてクソゲーだろという人もいるかもしれませんが、逆に十分楽しめたという人だっているわけです。たとえば上記の目次で挙がっているタイトルの中に、過去にプレイして値段以上に楽しんだよというゲームがあるかもしれません。
現に自分などは本書で取り上げられている、またクソゲーまとめWikiでもクソゲー判定されている燃えろ!!プロ野球』は時間を忘れるほど遊び倒した記憶があります。
Amazonで大作ゲームの評価が割れまくるように、満場一致でこれはクソゲーだ! というゲームもなかなかありません。
このようにクソゲーは定義が難しい。だからこそ日々クソゲーまとめWikiなどでクソゲーかそうでないかの判定が日々行われたり、長い期間審議が行われた末に決定されるクソゲーオブザイヤーがあるとも云えるでしょう。
つまりクソゲーとは極めて主観的なものなのです。自分がクソだと思ったゲームがクソゲーなのです。
まぁそれ言い出したら娯楽物は全部そうだろという話になるのですが。

クソゲーを愛す

不幸にもこれはクソゲーだ、と思われるものを買ってしまったらどうするか。早いうちに売っぱらう? 経済的にも精神衛生的にもそれが一番正しいかもしれません。
誰だって有り金をはたいて買うわけですから、できることならクソゲーは掴みたくない。だからこそ日々情報を集め地雷を踏まないように吟味する。
普通のゲーマーならクソゲーを掴まされればその怒りをネットに書き連ねるかもしれません。こっちは金払ってるんだから払った金額分は叩かないと気が済まない! そう考えるのが普通です。
しかしクソゲーハンターは違います。みんなが避けて通ろうとするクソゲーにあえて飛びつく。Why? 何故? 何のために? 普通のゲーマーならこう感じるでしょう。しかし本書を読むとその理由が見えてきます。


本書で取り上げられているゲームはそのどれもがクソゲーであるという評価を下されています。しかし紹介する側はどことなく楽しそうに見える。というよりゲームの紹介を読んでいると、クソゲーであるはずなのにプレイしたくなってくる。これはとても不思議です。クソなのに遊びたくなるなんて。
彼らは実際にプレイしていかにそのゲームがクソかを記しています。でもどことなくそのゲームへの愛がある。いやむしろ愛がないとここまでできないでしょう。
先ほど「自分がクソだと思ったゲームがクソゲー」と書きました。でも彼らは少なくともそうは思っていない。いや正確に云うとクソゲーだけどもクソさの中に別の楽しみ方を見出しているのです。なんてポジティブなんだろう! まぁ歪んだ愛とも云えるかもしれませんが。
しかし繰り返しになりますが、やっぱりこれは愛がないとできない。

本書を読み終えた頃には考え方が改まっているはずです。クソゲーを掴まされた値段分叩くよりもけなし代を払って楽しんだと思えばいいんだ、と。クソゲー買っちゃったけど売っぱらうよりいかにクソかを楽しんだほうがもっと楽しいかもな、と。
単なるクソゲーカタログに見えるけど、ゲームの楽しみ方は決して一つではないことを教えてくれる名著だと思います。


個人的にはゲーム紹介にパッケージ画像を載せて欲しかったと思います。あと誤植が多かったりファミコンからプレステまでの紹介しかありませんので、基本的にオールドゲーマー向けの構成かなと。
携帯機やPS2以降のゲームがフォローされてないのは仕方ない部分もありますが、それは『超クソゲー3』のお楽しみということで期待して待ちたいと思います。


クソゲーは本当につまらない。でも、クソゲーの悪口を言ってるときは最高に楽しい。」


超クソゲー3
超クソゲー3
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多根 清史 阿部 広樹 箭本 進一
太田出版
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